生駒山宝山寺 
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歓喜天に関する解説 


  歓喜天の正式名称は、歓喜自在天です。
 聖天さんの名称で親しまれています。
 インドのヒンズー教に起源があり、ガネーシャと
 呼ばれ知恵と幸運をもたらす神様として、厚く
 信仰されています。
 インドでは、物事を始める時、ガネ-シャに祈りを
 捧げて、無事を祈願するのが一般的だそうです。
 今後、日本とインドの関係が、尚一層深まると、
 ガ-ネシャの存在が大きなポイントを得て、互いに、
 共通する話題になるかも知れません。
 昭和天皇は、日本とインドとの関係を重視して、
 その様な思し召しだったと聞いています。
 
 元々、この神様は人々に必ず付き纏い禍を為す
 厄病神で悪魔の様な存在でした。
 道教では、三尸と呼ばれる腹の虫に近い魔神で、
 禍を与えようと腹の中で、その人を見張っています。
 良く似た性質の神様は、人類共通の存在だろうと
 思います。

 こうした厄病神や悪魔の類でも、正しい教えにより、
 教化されると福神に変わります。
 『禍転じて福と為す』、『塞翁が馬』、困難と好機は、
 紙一重の所があり、 禍も見方を変えると意外な
 チャンスが隠れている。
 こうした例えの様な事柄です。
 
 歓喜天が教化される正しい教えとは、ヒンズー教を
 始め、仏教、道教、日本の神道、様々な教えがあり、
 インド、アジア地域で、広く信仰されています。
 それに従い、様々な祭祀の方法もあり、どの教えでも、
 順応する自在性が備わっています。
 同じ日本でも、関西と関東では、祭祀の考え方に、
 違いが見られ、俗信も多いのが特徴です。
 意外な話ですが、僧侶の中でも、考え方に隔たりが
 大きく、様々な俗信を生む一因でもあります。
 ここに記す事も、一例と思い参考にして頂ければ、
 幸いです。

  聖天さんと言えば、拝むだけで、ご利益満載!
 この様に思われがちです。
 実際には、信仰する人が正しい教えを実践しないと、
 ご利益には結びつかないのが現実です。
 努力もせず、拝んで『わらしべ長者』の様な棚ボタ話は、
 聞いた事例が有りません。
 太閤秀吉も、人の倍以上、努力しています。
 ただ、信仰している人の多くは、小さなチャンスが、
 巡り易いと喜ぶ人の多いのも確かです。
 棚から福引券位は、落ちて来るのかも知れません。
 もし、拾った福引券で一等が出れば、ボタ餅より
 美味しい訳です。
 聖天さんからすれば、努力している姿を見ていると、
 その人を応援したくなるのだと思います。

 逆に、何故、聖天さんが恐れられるのかと言えば、
 一般的に、罰の当たり易い事で知られている為です。
 触らぬ神に祟りなしとは、聖天さんを差す事が多く、
 罰が当たるのは、祭り方に粗相がある時と思われて
 います。
 うっかりミスや不可抗力で、多少の粗相が出ても、
 仕方ないのは、神様の方が良くご存知なので、
 この程度の事なら罰は当たりません。

 実の所、正しい教えから逸れた時と自分の定めた
 約束を守らなかった時に罰が当たります。 
 信じる教えに反した時、定められた約束も破られ、
 どちらも、ある意味、罰則を伴う事があり、神仏の
 罰だけとは限りません。
 どちらかと言えば、運の悪さを嘆いた時に、神仏の
 罰を感じるのだと思います。
 インドの様子を見ると、祭祀の厳粛さより、その人の
 信じる気持ちを試されていると言う方が適確かと
 思われます。

 聖天さんを信仰するうえで、求められているのは、
 ①信じる気持ちがある事
 ②努力を見せる事
 ③約束を違えない様に務める事
 どの教えに従っていても構いませんが、この三つは、
 ご利益を得るための条件です。

 それでは、聖天さんを信仰すると、具体的にどの様な
 ご利益が得られるのか?
 よくある質問に、お答え致します。
 お経に説かれているのは、富貴無窮、徐病延命、
 良縁招来、戦勝祈願等が上げられています。
 学問と芸術、運気を司る神様なので、知恵を巡らし、
 好機を掴む手助けが得意です。

 芸能界にも信仰する方が多く、生駒本山に在職中、
 ミヤコ蝶々さんと知り合えて、とても良いご縁を
 得られました。
 鈴子の恋のモデルにして頂いた事は、思い出深く、
 誠に光栄な出来事でした。
 自分の実体験では、人の縁、機縁、巡り合わせ、
 この様な事で、多くのご利益が得られています。
 お陰様で、大願成就を果たせました。

 ここで、俗信についての誤解を解いておきたいと
 思います。
 ①始め出したら、途中で止められない?
  聖天さんを祭っても、あまり良く成らない場合、
  疑念を生じた時に止めて、不動明王や観音様に
  換えても、罰は当たりません。
  逆に、別の信仰に換えたら良く成る事もあります。
 ②子孫7代分の福を取り上げるのか?
  現実的に有得ません。
  7代分の福を集められるほど修業した人は、
  殆どいません。
  もし、ビックリするほどご利益があれば、社会奉仕や
  寄付をして、お裾分けをすれば解決します。
 ③非道な者でも助けるのか?
  『がらっぱち』の語源、誐那鉢底が梵語の音写です。
 博徒や勝負師の信仰を集めているのは確かですが、
 非道な者を嫌うのも、歓喜天の性質です。
 一応、軍神なのですが、残忍なのを酷く嫌います。
 ④不浄を嫌い、清浄でなければならないのか?
  この問題は、議論の別れる所で、ある意味、正しく、
  ある意味、神経質過ぎるかも知れません。
  神道色が強いと不浄を嫌い、バラモン教的だと、
  大らかです。
  ただ、牛肉を食べるのを嫌うのは、共通しています。
 ⑤願掛けをしなければならないのか?
  無理な願掛けよりも、普通に祈願している方が、
  願い事が叶い易いと思います。
  無茶な願いは、無理です。

  参拝の仕方
 般若心経 1遍
 観音菩薩真言   オン、アロリキャ、ソワカ
 十一面観音真言  オン、マカキャロニキャ、ソワカ
 歓喜天真言     オン、キリギャク、ソワカ
 それぞれ、7遍となえれば、宜しいです。
 知っている方は、不動真言を入れると丁寧です。
 覚鑁上人の歓喜天講式の読み下し本をお持ちなら、
 それを唱えれば一番良いと思います。
 当院では、毎日、必ず宝山寺版の歓喜天講式を唱え
 ています。

 お供え物
 基本的に、甘い菓子類、酒、水、ご飯、塩、砂糖
 良く言われるのは、歓喜団ですが、最中で充分です。
 日本の最中は、唐菓子の団喜がル-ツの様です。
 その原型は、インドのモ-ダカという菓子です。
 当院では、四角い最中を供えています。
 歓喜団は、巾着型に作りますが、宝珠型が本義です。
 酸っぱい物と肉類は、禁忌です。
 パイナップル、みかん類、肉魚料理は、不可です。

      図1、当院謹製 歓喜団
    
    向かって右側が巾着型、左側は宝珠型

      図2、別尊雑記聖天
    


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